末期腎不全の治療法(腎代替療法)について
末期腎不全の治療法(腎代替療法)には、大きく分けて「透析療法」と「腎移植」があります。
『透析療法』
透析療法は、正常に機能することができなくなった腎臓の働きを補うために、人工的に血液中の老廃物や余分な水分を除去して血液をきれいにする治療法です。血液を機械に通してきれいにする血液透析と、患者さまご自身の腹膜を使用する腹膜透析があります。
『腎移植』
腎移植は、新たに健康な腎臓を移植することで、正常に機能することができなくなった腎臓の働きを補う治療法です。お亡くなりになった方から腎臓を提供していただく献腎移植と、ご自身の家族・親族(原則として6親等以内の血族、配偶者、3親等以内の姻族)から左右どちらか片方の腎臓を提供していただく生体腎移植(※)の2つの方法があります。
※生体腎移植を希望される場合は、腎移植を受ける方(レシピエント)が腎移植を受けることができる条件を満たしている上で、ご自身の家族・親族に自らの自由意思による腎臓の提供者(ドナー)がいて、腎臓を提供する条件を満たしていることで、移植が受けられる可能性があります。
透析療法と腎移植のそれぞれの特徴について
透析療法の特徴
透析療法(血液透析、腹膜透析)と腎移植のうち、日本においては血液透析を選択される患者さまが圧倒的多数であり、腎代替療法として最も普及している治療法です。血液透析は平均して週3回通院し1回4~5時間の治療を行います。体調不良など何かあった際に医師や看護師に相談しやすいという安心感がある一方で、時間的な制約が大きく、食事制限や水分制限なども伴います。
腎移植の特徴
腎移植の場合は、末期腎不全の根本的治療という点では唯一の方法です。腎移植後は、基本的には大きな制限がなく、時間的な制約もないため、日常生活や職場・学校などの社会生活への復帰をスムーズに進められ、生活の質(QOL)を高めることができます。ただし、定期的な通院による移植腎の管理と生涯にわたる免疫抑制剤の内服が必要となります。また、提供される腎臓が少ないという現状があります。
それぞれの腎代替療法に特徴があり、ライフスタイルや仕事、家庭環境などに応じて患者さまご自身で選択しますが、どの治療法が一番ということはなく、一度選択したら変更できないということもありません。血液透析を選択し当院に通院されている患者さまの中にも、献腎移植の登録をしている方はたくさんいらっしゃいます。献腎移植の登録もしくは生体腎移植をご希望の方は、お気軽にご相談ください。腎移植実施施設についてなど、お話を伺った上でご紹介させていただきます。
新宿石川クリニックにおける腎移植患者数
新宿石川クリニックに通院されている透析患者さまにおいて、2018年1月~2024年10月までの約6年間の間に8名の患者さまが実際に腎移植(献腎移植・生体腎移植)を行っています。また、石川記念会グループ全体では2018年1月~2024年10月までに計35名の患者さまが腎移植(献腎移植・生体腎移植)を行っています。
腎移植後のフォローアップについて
腎移植後の注意点
腎移植を受けた後は、移植された腎臓を長持ちさせ、健康で活動的な生活を送り続けるためにも、規則正しく指示通りに免疫抑制剤を内服することがなにより大切です。また、定期的に通院して移植された腎臓の機能をチェックし、拒絶反応や感染症等の合併症の早期発見、適切な免疫抑制剤薬の調整を行い、免疫抑制療法を継続していくことが重要となります。
新宿石川クリニックにおける移植外来
当院では、腎移植を受けた方(レシピエント)はもちろん、腎臓を提供された方(ドナー)についても、臨床経験豊富な専門医が術後の定期的なフォローアップを行っており、腎移植後の患者さまをサポートしてまいります。また、診察の結果、更に詳しい検査や入院加療が必要であると判断した場合は、医療連携の体制を整えておりますので、適切な医療機関へ責任を持ってご紹介させていただきます。
心の通う、安心できる医療の提供
当院では腎移植医療において、腎移植術を受ける前の透析診療だけでなく、移植外来、糖尿病内科、循環器内科など各診療科の医師や、薬剤師、臨床検査技師、栄養士などさまざまな職種のスタッフが連携し、患者さま一人ひとりの気持ちに寄り添い、心の通う安全で質の高い、安心できる医療の提供に努めてまいります。